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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)1387号 決定

本籍

福岡県筑紫郡二日市町大字二日市八六五番地の一

住居

長崎市城山町一丁目三九三番地

人夫

森正雄

大正元年一〇月一八日生

右に対する建造物侵入被告事件について、昭和三〇年三月二六日福岡高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意第一点は事実誤認の主張であつて適法な上告理由に当らない。同第二点は原判示に副わない事実を前提として違憲を主張するものであつて、その違憲の主張は不適法である。

弁護人大塚一男、同金綱正己の上告趣意第一点は単なる訴訟法違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない(なお所論とは異り控訴審が第一審判決の事実認定の当否を判断する資料は、第一審判決の挙示した証拠だけに限るべきものではなく、記録にあらわれ適法に証拠調を経た全証拠に及ぶものと解すを相当とする。所論の違法はない)。同第二点は量刑の非難であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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